September 20, 2012

ON SATURDAY



DOMMUNE で何かを見るということを一度しかしたことがないのに 昨晩はそこに出演した。しかも夜の9時から。実際には進行が遅れて スタートは9時半を過ぎていた。いつもなら夕食も済んで風呂にも入り うつらうつらしている時間だ。そんな男がノコノコと場違いなところに出かけたのは それがヤン富田さんに関するトークだったからだ。きっと川勝正幸さんが生きていたら 彼が座るべき席だったのだと思う。

自分に求められていることが ヤンさんとのこれまでの仕事の中で感じたことやちょっとした裏話というものだったろうから それに従って『VISAGE』や『relax』の話をした。でも 本当は「レコード産業は20世紀で終わってしまったんだよ」という発言以降のヤンさんがやっているコンサート(あるいはレクチャー)形式の新曲発表を観たことがない人のために その途方もない面白さを伝えたいと内心で思っていた。

ぼくはときどきヤンさんと都内のホテルで中庭をながめながらお茶を飲むことがある。そのときのヤンさんの話は希望や閃きに輝きに満ち満ちていて 帰り道にひとりになると口笛を吹いたり鼻歌を歌ったりしたくなる。それは自分だけに与えられた特権なのかもしれないが ぼくが観ているここ数回のヤンさんのコンサートは ホテルで一緒に過ごすときのあの時間の流れとぜんぜん違わない。ましてやそこにレジュメや新曲(自分がコントロールできないものと自分がコントロールできるものを融合させた音楽)がついてくるのだ。

今週の土曜日にリキッドルームで行われるコンサートが楽しみで仕方がない。音楽好きだけでなく アートが好きな人も来たほうが良いと思う。